事業モデリング
ビジネスの世界では、事業・業務の「見える化」が求められています。従来、システム開発の分野では事業や業務(そしてその写像としてのシステム)を記述するためにビジネスのモデリングを行ってきました。近年、ビジネスの領域でもビジネスモデリングの考え方を取り入れた経営手法などが提唱されています。理由としてビジネスのあり方や仕組みが変わってきたことにより、ビジネスに関わる対象領域の理解・共有化のためには「見える化」「モデル化」がどうしても必要になってきています。業務改善もDXも人事システムデザインも新規事業開発の実現にも「事業のモデリング」が必要です。
UMLを利用し「見える化」。
ビジネスのありさまを伝えサポートします
やろうとすることを言葉により分かりやすく表すことも可能ですが、聞き手との間で前提となる共通了解が作られていない限り、イメージにバラツキが生じることは必至です。人事システムにおける仕事基準への変化は、各部署の専門性を深化・効率化させ、より生産的な仕事を可能としますが、反面、コミュニケーションの停滞が危惧されます。ビジネスのあり方、仕組みを図や表で「見える化」「モデル化」ができれば、情報の受け手の自分勝手な余計なイメージを払拭して、ストレートにビジネスのありさまを伝えることができるはずです。そのために、システム作りで当たり前になりつつあるUML(Unified Modeling Language)を利用します。
顧客など外部からの要求を「ユースケース」で記述し、その要求を実現するための内部構造を「クラス図」で記述し、部門・従業員の動き・役割を「アクティビティ図」に記載していきます。これらを社内横断的に組織された部署チームによりプロジェクト展開をし、それぞれの仕組み・役割がどのように動くか全体像を俯瞰しながら課題検討・改善・設計・実装していきます。プロジェクト展開のコンサルタント・ファシリテーターをわたしたちオフィスが支援します。実際の仕事の課題解決を通して企業の役職員育成をサポートします。
POINT1ユースケース図
UMLのユースケースは、外部から見て分かるようにシステム要求を記述するのに使われます。何らかのビジネス目標と機能に関するシナリオでの、アクターと呼ばれるユーザとシステムとの一連のやりとりを描いたものです。一つのユースケースは、アクターとシステムがどのように相互作用し、ビジネス上の目標の達成もしくはビジネス上の機能の実現をいかに行うかを説明し、ビジネスにおける一つ以上の要求シナリオを記述します。ビジネスの具体的な使い方としては、顧客や市場の求める要求分析フェーズにおいて、商品・サービスの決定・計画の立案・企業内部のシステム構築・振る舞いの決定に活用できます。
顧客や市場の要求に対して、よく理解し、製品やサービスが顧客にぴったり合ってひとりでに売れていくようにするのが「マーケティング」、人的や物的、あるいは社会的資源から、より大きくて新しい富を生み出すのが「イノベーション」です。これら企業の課題を考える入り口がユースケースであり、デザイン思考です。「現在の事業」について考えること、「将来の事業」について構想すること、またマーケティングやイノベーションを行える人材を育てあげることは、これからの企業の使命とわたしたちオフィスは考えています。
POINT2クラス図
クラス図はUMLのひとつで、顧客や市場の求める要求に対して企業内部のシステムを記述します。「システムの静的な構造・関係性を視覚的に表現するための図」です。メリットとしては、ルールに基づいた記述で、視覚的にシステムの全体像を表現することができるので「何を目的にして作られたシステムなのか」を分かりやすくメンバー間で共有できます。また、クラス図はUMLの中でも最も基本的な手法です。つまり、クラス図をもとにデータベース設計用のUML図、システムの処理の流れの確認用UML図などが作成できます。
クラス図を用いてグラフィカルにシステム全体を表現すれば、エンジニア・非エンジニアに関わらず直感的に理解しやすくなります。従業員間の認識をすりあわせておくことで、後の仕様変更リスクを抑えることも可能です。システム設計に当たっては、どの部署がどのような仕事を担当するのか?仕事の流れにムダ・ムリはないか?常に課題認識を持ち、PDCAサイクルを回し続けることです。計画から改善までのサイクルを何度も回し続けながら品質の向上を目指します。また、大局の流れを読み、全体像を把握しながら、本質的で持続的な働きかけを探るアプローチであるシステム思考が身につきます。わたしたちオフィスが、ファシリテーター、コンサルタントを務めます。
POINT3アクティビティ図
「アクティビティ図」とは、ビジネスプロセスの流れやプログラムの制御フローのような一連の手続きを可視化できる図のことです。ある作業の開始から終了までの機能を、実行される順序どおりに記述します。アクティビティ図を使用するメリットは「処理手順に無駄がないか」を視覚的に俯瞰して判断することができる点にあります。処理手順をロジカルに表現する際、複雑なシステムでも「論理的にムダのない構造になっているか」をチェックしやすいために利用されています。
ビジネスでは、タスク図で描かれたシステムを動かすための、構造や処理手順の無駄などを判別するのに有効です。ファシリテーションをしていると現場での様々な手順や考え方があることに気づかされます。また、この図はフローチャートによく似ていますが、業務改善を行う際に業務の書き出し、分類等を行ってもフローチャートでは描ききれない「システム実行の流れと条件分岐」が一層鮮明になります。業務改善を行う際の業務の書き出し、分類から「オブジェクト指向」による業務記述・アクテビティ図の作図、課題の検討・抽出・対策の検討・決定までの流れをわたしたちオフィスがサポートします。
POINT4シーケンス図
シーケンス図とは、システムの概要・仕様・処理の流れを記載した図のことで、システム開発の設計書として使用されます。クラス・オブジェクト間のやり取りを、時間軸に沿って一定の書式に則って記載する点が特徴ですので、クラス図とアクテビティ図が一緒になったものと捉えた方が分かりやすいかもしれません。一定の記述ルールに従って視覚的に分かりやすい形式で記述されるため、テキストベースの仕様書を読むよりも、システムの詳細についてスムーズかつ正確に理解することができます。全体像の把握やミスの発見が容易であるといったメリットもあります。
近年、IT業界だけでなく、建設業界や自動車業界、ビジネスなどでもアーキテクチャという単語が使われています。アーキテクチャとは、組み合わせたモノを主体におき、要素や部分を見たとらえ方である「構造」と要素や部分に主体をおき、組み合わせたモノ全体を見たとらえ方「構成」との組み合わせのことをいいます。シーケンス図では、事業の組織と人の関係においてビジネスの基本構造・設計理念から必要なクラスやオブジェクト間のやり取りを見直し、経営上の利益が上がるように効率化することだと私たちオフィスは考えます。組織の全体最適・部分最適推進のサポートをします。
働き方改革は、従来の日本型雇用システムだけではなく働き方そのものを変えることでもあります。戦後の混乱期にあって、人手不足や技術革新・従業員教育などの諸問題解決のために生み出された雇用システムは当時の諸事情を考えると企業にとって優れた制度と言えます。その制度も時代の変化にあっては変えなければならないのですが、中小企業のとって大きな新たな課題が生まれます。「事業モデリング」の考え方は、その矛盾から生まれました。
ピラミッド型の組織と機能別の分業を進めることによって、1990年代にアメリカで提唱された「リエンジニアリング」「組織開発」という全社的に解決すべき課題が生じる恐れがあります。今の仕事を定義して階層別に分業を進めていくジョブ型人事システムでは、だれもが自らの職務能力の強化を図り優れた仕事をしようとします。このことは仕方ないことですが、この職能組織のデメリットは全体を見渡せる従業員・イノベーションを起こす従業員が育たないことです。
特定の課題解決のために各部署の構成員を集めてプロジェクトチームを構成し、全社的課題の解決や新たなビジネスの創出を行うなど変化する要求に対応します。結果として職能組織を補完します。メンバーは6~7人の構成になるので管理監督職養成のチームと考えることもできます。デメリットとして、目的に関する意識共有化・コミュニケーション不足などがありますが、これはUMLが補完します、これからの企業は、人手不足対策や従業員の能力開発のため、「学習する組織」を企業風土として醸成しなければならないと考えます。ファシリテーター・コンサルタントとしてわたしたちオフィスが支援します。