あなたの顧客は誰ですか?
10年ほど前、「もしも高校野球のドラッカーの『マネジメント』読んだら」という本が発売され、当時のアイドルを主人公として映画化もされました。小説の内容としては青春小説ですが、この本の特徴は野球部のマネージャーである主人公みなみがドラッカーの『マネジメント』を参考に弱小野球部を成長させるというところです。読み進めるうちに経営の勉強ができる優れた小説だと感じました。ドラッカーはマネジメントの最初の仕事は「組織の定義付け」であると言っています。そして、組織を定義付けするために必要なものは顧客です。みなみは野球部も組織ということに気が付き、定義付けをするにあたり「顧客は誰か」ということで悩みます。
一般的には野球部に顧客はと聞かれれば自分たちの試合を見に来てくれる人と考えがちですが、チームメートの助言で学費を払ってくれる親や学校の先生、地域の人々、高校野球ファンなど顧客の定義を広げることが出来ました。何よりも野球部員も顧客であることに気づき、部員は野球部の従業員の位置づけと同時に組織の定義づけへと一挙に進んでいきました。顧客が野球部に求めるものは「感動」であること、野球部は「顧客に感動を与えるための組織」と組織の社会的使命を確認しました。そこから弱小野球部の目標を「甲子園出場」として、物語が進んでいきます。組織の定義づけ、他者の期待と自己の期待の融合がマーケティングの入口です。そこで・・・貴社の顧客は誰ですか?