「結論から」「全体から」「単純に」考える力
2007年秋に出版され初版18万部を売ったという『地頭力を鍛える』。著者である細谷功氏は地頭力」を、考える力・思考する力と定義していますが、その前に付く、修飾語が重要です。つまり、「結論から」「全体から」「単純に」考える力・思考する力をもって、「地頭力」と呼んでいます。当時のネット社会の到来は、知識・情報の「量」は爆発的に増加し、「鮮度」も格段に上がった一方で、知識・情報の「質的なバラツキ」は顕著となりました。知識・情報を持っていること、収集できることへの優位性はなくなり、知識・情報をつかって、独創的な何かを考え出すこと、創り上げることが競争優位のポイントになったと言われた時代でした。そんな時代だから細谷さんが提唱した「地頭力」「フェルミ推定」関連本はベストセラーとなり影響力を改めて認識させられます。
細谷さんは「地頭力」を三つの構成要素(思考力)で捉えています。「結論から」考えるための「仮説思考力」。「全体から」考えるための「フレームワーク思考力」「単純に」考えるための「抽象化思考力」の3つです。人には個性として考えのクセがありますが、結論から」「全体から」「単純に」考えるという思考回路がアタマの中に組み込まれると、あらゆる場面で人間の行動を一定方向へ振り向けることになります。「地頭力」は仕事の生産性を上げることに役立つことはもちろんですが、思考回路として人間の行動を変える効果があります。この「地頭力」の考え方を「自己統制による目標管理制度(MBO)」に取り入れています。特に会社の年度目標が決定する今の時期に説明会を実施しています。
結論から考える」とは、限られた情報から始めに仮の結論をおいて考え始めることで、すべての行動に方向性を持たせて最も効率的に最終目的地にたどりつくことができます。普段、我々が考える方向と「逆向き」に考えることを意味します。「全体から考える」とは、始めに目標の全体像をつかんでから解決策に着手することです。全体をバランスよく考えることができて後戻りが少なくなるというメリットがあります。また、頭の中に「思考の白地図」を持って考えるイメージで、自身の思考のクセや偏りを見つけることが出来るメリットがあります。「単純に考える」とは、対象となるものの本当に必要な特徴だけを取り出して考えることです。「単純に考える」ことで、同じ特徴を持った複数のものを「同じもの」として取り扱うことで応用範囲が広がり、自分が経験していないことも「疑似体験」として参考にできます。
ある課題に対しての施策の決定、施策をやるための具体的なやり方をWhy>What>Howの相対的関連構造で説明しています。それぞれの階層で「目的と手段」という関係が成り立ちます。最上部に会社目標であるミッションがあり、関連する自己目標を文章化して具体的な施策が戦略であり、それを達成するための手段が戦術になります。「問題解決ピラミッド」と呼ばれるもので、業務改善やキャリアプランなど様々な応用が可能ですが、人事システムでは人材育成とその評価に用いています。ピラミッドは上にいくほど本質的・抽象的で単純なものとり、下にいくほど現象的・具体的で複雑なものになります。人材開発に優れた思考法です。