組織の未来をつくるコラム

対話型リーダーの育成と生成AIの活用

不確実性を増すビジネス環境においては、所属する人材の関係性を向上させる重要性が認識されはじめ、組織の活性化・アウトプットの質向上、人材確保や定着を図る対話型組織開発は、近年、注目をされはじめた手法です。しかし、組織開発の専門家が社内にいないことと対話型の会議を進行する新しいタイプのリーダーがいないことが課題でした。このことは以前「対話型の新しいリーダーが育てば組織は変わる」のコラムで掲載していましたが、現在は多くの顧問先で対話型リーダー育成のための「業務課題の解決と実践研究」を行っています。「新しい価値を生み出す業務の見直し」「人手不足に対応する職場環境の改善」「社会課題の解決と新しいビジネスへの取り組み」など目標は違いますが、課題に対応する対話型ミーティングプログラムで実施しています。


対話型リーダーの目標は、複雑な組織課題を俯瞰し全体最適を図る能力を養うこと、対話による組織内外での活動を通じ効果的な組織成長を促進することです。VUCAの時代AIリテラシーの向上は必須、AIツールを活用したビジネス課題の解決を模索します。ミーティングでは、組織内での多様なチームメンバーとの対話で共通理解を深めダイバーシティ&インクルージョンを実装、効果的な対話を促進するためのファシリテーションスキルを習得します。一月に1~2回のミーティングでは、効果的な進捗が期待できないために、オフラインとオンラインのハイブリッド学習を取り入れ基礎から応用へと段階的な学習のすすめ方が大事だと実感しています。ミーティング前のアジェンダの準備と確認、当日、説明用レジュメの準備、その後のミーティング記録の作成と配布などは、どんな会議でも必要なことですので対話型リーダーは習慣化すること必要です。



対話型リーダーの育成には生成AI(ChatGPT)が活躍しています。課題の関するプログラムは目標から前提や要件を書き込んだプロンプトで指示すると見事に作ってくれます。全てがそのまま使える訳ではありませんが、一からデータを集めながら作ることを考えると相当の時間短縮です。対話型リーダーの能力は相手の話を聞きながら、相手の感情や訴えようとする心理などを考察するアナログ的な思考を必要とします。同じように必要とする能力として、起こっている出来事の原因を時系列データや各種データを基に証明することです。これは理系が苦手な人でも生成AIの分析・解析の成果物を使うということができます。現在、組織内で起こっているシステム原型が判明し、この解決策(レバレッジポイント)を探るミーティングのファシリテーターを対話型リーダーが行っていますが、難しい会議進行フローは生成AIに作ってもらっています。課題解決にはDXを含めAIの進化を活用するのが得策です。


対話型のリーダーを学ぶことは、自らも広範囲に学び続ける姿勢を持ち、未知のことを探求する意欲が強くなります。他者からも学ぶ態度を持ちメンバーの意見も尊重するので自らの成長はもちろんのこと、周りの人たちもその影響を受け自己啓発の波が広がります。徐々に企業が「学習する組織」へと変わっていいく姿を見るのはうれしい限りです。全体のつながりや相互依存関係を、部分最適ではなく全体最適を追求する能力を学ぶためにはシステム思考は欠かせません。不確実性や変化に対して適応し、組織の方向性を柔軟に調整する能力が育まれます。問題や課題を根本から理解し、短期的な解決策ではなく、持続可能な改善を目指す視点を持つリーダーは、あらゆる組織に必要な人財です。