組織の未来をつくるコラム

仕事を辞めたい新卒社員の意識調査

さまざまな業界で人手不足の声が聞こえてきますが、「配属ガチャ」「退職代行」などのワードが話題になるなど新入社員への向き合い方・接し方、長く働いてもう術に頭を悩ましている人が多いのはないかと思います。マイナビ転職は今年4月入社した新卒者を対象に、入社2か月後の現在の仕事に対する満足度や配属先について思っていることなど調査した結果を公表しました。それによりますと新入社員の33.4%が「会社を辞めたい」と感じたことがある。・・・とういうショッキングな結果が浮き彫りになりました。また新入社員の約4人に1人、女性は3人に1人が「3年以内に退職」したいと考えているようです。近年の傾向ではありますが、長く働きたい男性が約4人に1人いる一方で10年以内には辞めたいと考えているのは46%という結果でした。


退職検討経験者の月収を比較すると月収が16~18万台の割合が多く、退職を検討していない層と比べ辞めたいと思う人が10ポイント以上高く月収が退職意向に影響を与えることが示唆されています。また、事業規模でも中小企業勤務者が中企業、大企業に比べて辞めたいと思った人の割合が高い結果でした。新入社員にとって配属時の大きな関心事である「配属ガチャ」ですが、希望通り勤務地、配属先だった人は全体の59.9%という結果でした。約4割の人が希望通りいかなかった中で「仕事内容が向いていない」という考えに繋がり、退職意向の一因になる可能性が指摘されています。それでは希望通りいかなかった方々を含め「配属ガチャにハズレた」と感じている人の割合は11.1%、10人に1人とそんなに多くはありませんでした。「希望は通らないことが残念だが、最初のキャリアでそこまで悲観しない」というポジティブな意見が多いようです。



「現在の仕事内容の理想と現実のギャップ」の質問項目では、上位回答の「働きと報酬が見合っている」退職検討者と非退職検討者間で8.8ポイント、「仕事内容が向いている」では15ポイント以上の差が開く結果になっています。その他の項目で 10ポイント前後の差がついている項目としては「将来性のある事業・仕事内容を担当している」「今の仕事を続けたら、社外にも通用する人材になれそう」「資格取得やリスキリングの奨励など、スキルアップの制度がある」などがあります。退職検討者は、自身の成長や将来通用する人材になれそうかという点に焦りを感じているのかもしれません。昨年のブログにも書きましたが、「職場がゆるい」と危機感を抱いている新入社員の存在が見て取れたのがこの会社のこの調査でした。新卒者の離職防止には、まずは働きに見合った報酬があること、次いで仕事内容がマッチしていることが重要なようです。


今の会社を辞めなかった理由の質問では、「上司や先輩同僚に恵まれているから」回答では、退職検討者と非退職検討者では18ポイント以上の差がついています。他の質問でも見て取れますが退職検討者は社内でのコミュニケーションに苦手意識を持たれているのではと考えられます。この調査の総括でも触れていますが、新入社員が仕事に慣れ、ある程度独り立ちし裁量を得て充実感を得られるまでの間は、上司や先輩がフィードバックやコミュニケーションを通して成長している点に気付かせることが大事です。それに加えて「どんな意図でその業務を任せているのか」、「目標が明確であること」「身につけるスキルが明確であること」「配属当初と比べて成長したと感じる」いると退職を考えない傾向が高いこともこの調査で明らかに。現在の状況で給与までは考えられない中小企業でも上述の内容であれば可能では。