組織の未来をつくるコラム

組織の力は管理よりも従業員の心理的安全/民間調査より

リクルートマネジメントソリューションズは5月28日、「会社や上司からの管理に関する意識調査」結果を発表ました。会社からの管理過剰感に関しては、「管理しすぎである」「管理に息苦しさを覚える」「管理がわずらわしい」など4つの問に対して、5割弱から6割の人が「とてもそう思う」「そう思う」と回答しています。調査を行うにあたり会社や上司による管理は、組織としての効率性やリスク回避の観点から必要なこととした上で、従業員が管理を過剰だと感じていることは、心的コンディションや主体性にネガティブな影響を及ぼす可能性が示されたと評価されています。管理過剰感がある一方で、「会社には、これがなければ、もっと高い成果が出せるのにと思うルールや手続きがある」は60.0%とやや選択率が高い結果がでています。会社や上司は、必要な管理だから仕方ないということではなく、意図や背景を明確に伝え、従業員が管理をどう受け止めているかに意識を向ける必要があります。


会社からの管理過剰感に関するエピソード(自由回答)については、「ノルマ・行動管理」「監視」「規則・手続きが多い」「決裁・根回しの煩雑さ」「数値管理への偏り」「働き方の制約」などにおける具体的な記載が確認されたようです。また、上司からの管理過剰感に関するエピソード(自由回答)については、「細かな指示や口出し」「報連相」「終業後や休日の連絡」「業務を理解していないのに管理・介入」「押し付ける・受け入れない」といったコメント群が確認されました。会社からの管理に対する意識に関係しそうな会社の特徴について回答を求めると、ルールについて「一度作ったルールや制度は、なかなか撤廃・改善されない」というように形骸化していると会社管理過剰感は高く、そうでなければ低い結果でした。閉塞感に関しては、「内向きで現場や顧客の声が通らない」「部門の縦割り意識が強く、組織間の対立が起こりやすい」「意思決定に際し、稟議や根回しが煩雑である」という状態にあると会社管理過剰感は高いという結果でした。



調査では会社過剰管理が低いと感じられた例として、「社内のルールや制度について、従業員が意見を言える」「新しくルールや制度ができたときには、背景や意図について説明がある」といった決まりだから従うようにということでないコミュニケーションがあると、会社管理過剰感は低いようです。また、「たとえ失敗してもチャレンジすることを奨励している」「意思決定スピードが速い」「現場判断ができるよう、社内外の情報が開示されている」という状態にあると会社管理過剰感は低い結果になっています。従業員や関係者の健康や安全を重視している」「従業員にとって、成長できる機会が多くある」という認識のもとでは、会社管理過剰感が低いようです。同じようなルールや制度であったとしても、従業員側が自分たちの健康や安全、成長を考慮した管理だと受け止めていると、管理過剰感は生じにくいのかもしれません。そのことからも、ルールや制度の意図を伝えることの重要性がうかがえると調査主催者は訴えます。


調査から多くの従業員が管理過剰感を持つことに、不快感、息苦しさ、わずらわしさを感じるようです。また、そのことが心的コンディションや主体性のネガティブな影響を及ぼす可能性も分かりました。反対に「社内のルールや制度について従業員が意見を言える」「たとえ失敗してもチャレンジすることを奨励している」などは違った意見や行動であっても組織風土として批判しないという従業員に心理的安全を担保していると言えます。職場での自身のイメージリスクを最小限にするには自分の正しさに絶対的な確信がない限り、何もせず何も言わないことです。心理的安全が担保されないことで創造性を制限しイノベーションを妨げ本物の人間関係を創る可能性も失います。管理することで人を動かすより職場の従業員同士が信頼と尊敬の関係を築ける職場風土に尽力すべきと調査から再認識しました。