組織の未来をつくるコラム

対話型の新しいリーダーが育てば組織は変わる

不確実性を増すビジネス環境においては、所属する人材の関係性を向上させる重要性が認識されはじめ組織開発の考え方も変わりつつあります。組織開発とは、組織内に醸成された規範や価値観に働きかけることで、個々の人材のエンゲージメントを高め、組織の活性化・アウトプットの質向上、人材確保や定着を図る一連の活動を指します。なかでも対話型組織開発は、近年、注目をされはじめた手法です。ダイバーシティ(多様性)の浸透により、企業は従来の画一的な組織運営では組織の方向性を統一することは難しくなりました。対話型組織開発では現場の当事者の視点で組織の改善が語られます。組織課題の抽出や改善策の検討を、現場の社員を巻き込んでおこなうため、当事者意識の醸成や主体的な行動につなげやすい点がメリットです。


対話型組織開発の最大のメリットは、組織内の人的関係性の向上が見込めることです。社員にとっては管理されるだけではなく、自分たちの思いを組織運営に反映できる機会となるため、組織に対する信頼度は高まります。対話のプロセスで、多くの社員が共通の意識をもつことにつながり、組織としての一体感を生み出すことに貢献します。社員どうしの相互理解が進むことにより、自分の意見を気兼ねなく発信できる雰囲気が醸成され、組織内の心理的安全性が高まるのです。また、情報共有が促進されることで、本質的な対話が活発になります。共創やイノベーションが生まれ、新たな価値創造(結果)につながりやすくなります。組織課題の抽出から改善策の検討まで、社員が自分たちの意見を反映できます。自分たちで「どうすれば会社が良くなるか」を考えるため、改善策に対しても積極的に取り組むようになります。



対話型組織開発と並び、従来おこなわれてきた手法が「診断型」組織開発です。診断型組織開発では、外部コンサルタントなどの専門家により、組織の現状を分析・診断します。その結果から、課題の抽出や改善へのアプローチにつなげていく手法です。従業員満足度調査により組織内の現状と課題を把握し、満足度を高める施策を講じるといった取り組みは、診断型組織開発の典型といえます。対話型組織開発では現場の当事者の視点で組織の改善が語られます。組織課題の抽出や改善策の検討を、現場の社員を巻き込んでおこなうため、当事者意識の醸成や主体的な行動につなげやすい点がメリットです。 ただし、組織開発の専門家が社内にいない場合、進行が難しく導入の難易度は高くなるでしょう。加えて、経営層の納得が得られにくいことや、意思決定が進みにくいといったデメリットもあります。


業務改善などの社内会議において、対話型の進行方法に変更することで対話型組織開発のフレームワークとしてスタートさせることができます。指揮命令下で管理されるだけではなく、組織課題の抽出や改善策の検討に自分たちの思い・考えを組織運営に反映できる機会となるため積極的に協力をしてくれます。問題は、ほとんどの企業で組織開発の専門家が社内にいないことと対話型の会議を進行する新しいタイプのリーダーがいないことです。ファシリテーターのスキルも必要になりますが、いなければ育てれば良いと思います。会議を私たちオフィスではミーティングと呼びます。対話型ミーティングでは事前準備が重要になりますが、会議スキームとして構築し、レジュメも関連する資料を準備し、当日は自由に意見を発する場を演出するだけです。新しいタイプのリーダーがいれば組織は変わります。