組織の未来をつくるコラム

2023年の転職率は7.5%と高水準をキープ/民間調査

現場の人事担当者の話では転職市場の活況が話題にされることが多いようですが、実態としてそのような傾向を示すデータが株式会社マイナビより公表されました。現在正社員として働いており、2023年に転職した20代~50代の男女1,500名を対象に、転職者の傾向や変化を調査した『転職動向調査2024年版』を発表しました。2023年の正社員転職率は7.5%で過去最高水準が続いています。2023年の正社員の転職率は7.5%(前年比0.1pt減)で、調査を開始した2016年の3.7%から約2倍以上と過去3年間は高水準で推移しています。転職者のうち、性年代比率をみると、男性30代(23.3%)がもっとも多い結果でした。2021年以降、30~50代のミドル世代の男性が転職した比率が高まっており、2023年では、47.6%と約半数がミドル世代の男性だったという結果でした。


転職理由は前年から引き続き、全体では「給与が低かった」が11.5%で最多となりました。男女別にみると、男性は「給与が低かった(12.1%)」、女性は「職場の人間関係が悪かった(13.7%)」がもっとも多い結果でした。男性の転職理由で「会社の将来性、安定性に不安があった」(9.2%)と女性に比べ高い水準にありました。転職先を決めた理由では、全体と男女別ともに「給与が良い」が最多となりましたが、女性は「休日や残業時間が適正範囲内で生活にゆとりができる(13.3%)」「希望の勤務地である(11.2%)」も比較的高い結果でした。女性は男性と比べ人間関係やプライベートとの両立を考えて転職活動を行う傾向があるようだと分析しています。男性の転職先の理由では「新しいキャリア・スキルを身につけることが出来る」(7.0%)が高い水準にありました



転職後、年収が上がった割合は39.1%(前年比0.4pt減)でした。もっとも年収が上がったのは男性40代で、45.4%が転職によって年収が増加しました。一方女性は男性に比べて年収が上がった割合が低い傾向にあり、転職理由と転職先決定理由でも給与以外の項目が目立った影響があると考えられます。働くことでの人間関係のストレスが少ない職場、生活優先の考え方が先行していると思われます。転職後の平均年収額をみると、489.6万円となり、転職前の平均年収472.5万円より17.1万円増加しました。転職後の差額が大きかった性年代は男性40代(+26.5万円)と男性20代(+26.1万円)という結果でした。一方差額がもっとも低かった性年代は女性20代(+3.3万円)、次に低かったのが女性50代(+8.1万円)という結果でした。


2023年に転職をした人の約半数は30代~50代のミドル世代の男性となり、その比率は年々増加傾向にあります。人手不足が続く現在、即戦力となる人材が求められており、『マイナビ転職』に掲載中の求人の初年度年収2023年平均は456.6万円と、調査開始以来増加傾向にあるようです。リスキリングと転職後の年収額の比較でリスキリング経験がある人とない人の差は男女別にみても、それぞれ100万円以上の大きな差があります。今後もこの傾向は続きますので早い時期に自社の従業員が定着する環境、そして外部労働市場から人材確保ができる環境の整備を進める必要があります。まずは、自社の従業員が定着する環境、リスキリングの取り組みから初めてはいかがでしょうか。