組織の未来をつくるコラム

業務改善がうまく進まない理由と対策

自社の業務改善に取り組みが必要であると検討していても、多忙を理由として後回しにしてしまうケースは少なくありません。また、業務改善に着手したとしてもどのようにアプローチすべきかがわからず、うまく進まないことに悩むことも多いのではないでしょうか。業務改善を行うべき背景として、「業務スピードを阻害する煩雑な業務プロセス」を整理しなければならないということが考えられます。労働時間全体の改善や残業による人件費の削減にも繋がります。また、業務改善による人手不足の解消も大きな理由です。業務改善前よりも少ない人数で同じ業務がこなせるようになるので、本来必要としていたマンパワーが不要となり、人手不足であった状況を解消できるのです。あるいは非効率な業務を効率化させるために、特定の社員しかできない業務を分担させる背景もあります。


業務改善の必要は考えても、業務改善が上手く進まない理由の一つ目に、業務改善を推し進めようとしている経営陣と、現場で働く社員との間に温度差があることが挙げられます。業務改善を成功させるためには、実際に業務を改善する現場と経営陣間での密なコミュニケーションが不可欠です。二つ目は、担当者が先導となって現場の声をヒアリングし、問題点を改善するフローは業務改善の基本ですが、現場から意見が出にくい雰囲気があれば、業務改善は上手く浸透しません。また、業務改善を行う業務には「どのような課題があるか」を経営陣や担当者が明確にしていなければ、現場の社員は目的を正しく理解できません。課題を明確にするためにも、業務内容の見える化を確実に実施しましょう。当オフィスでは、統一モデリング言語(UML)を活用しています。



業務改善は働き方改革、要するに生産性向上のためにも必要な対策です。しかし、その場限りの業務改善案では課題解決になりませんが、業務改善策を考えるとどうしても「コストをかけられない」「人件費はかけられない」など制約が出てきてしまいます。また、現場は通常業務と並行して解決策を考えている場合が多く、どうしても片手間になりがちです。「今まで問題なく仕事をしていたのだから、業務改善しなくても問題ないのでは?」というようなマイナス発言も聞こえてくるかもしれません。現場の負担は軽減するのか、残業時間は減るのか、そもそも組織や部署、チームに合った業務改善であるのか考え、新しいことを取り入れ続け一つずつ試して、導入すべきか検討します。実行した結果を分析し、再実行をくり返すことで業務改善の形ができてきます。


簡単に対処できる業務改善であれば、それほど大きな効果は得られません。難しい問題であるほど業務改善は大きな効果を得ることができます。PDCAのようなPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)時間をかけて繰り返すことで新たな課題や問題点も見えてきます。業務の手順を可視化する、外部要求に対する企業の組織体制を可視化する、時系列でのイベントを可視化するなど図や絵、文章などを用いて流れを理解すれば、どこで躓いているのか、どの部分を改善することで業務効率に繋がるのか見えてきます。業務改善に対して問題提起して計画し、スケジュールに落とし込み、実行に移す。UMLで可視化して、スケジュールを管理・共有するためのクラウドシステムを活用するなど、工夫次第で可能なことです。業務改善に取り組まない選択肢はないと思います。