組織の未来をつくるコラム

これから求められるビジネスリーダーについて

経営戦略と人事戦略の紐づけが今後の企業経営を決定づけるとされた、経産省「未来人材ビジョン」「人材版伊藤リポート」の公表から約2年が経ちます。この公表から人事に関する相談など受ける中で、企業でのビジネスリーダー育成は最重要課題といっても過言ではないと感じています。様々なところで「リーダー」という言葉が使われていますが、一般的には「人々を率いる存在」を指します。ドラッカーは「唯一のリーダーの定義は、フォロワー(リーダーを補佐する人物)がいる人物である」といい、XY理論のウォーレン・ベニスは「リーダーシップとは、ビジョンを現実に変える能力である」と言っています。また「マネジャーは物事を正しく行う。一方、リーダーは正しいことを行う」とその違いを強調しています。


ビジネスの世界のリーダーは、「組織をあるべき状態へと率いる存在」であり、リーダーシップとは「組織をあるべき状態へ現実化する一連の行為や影響」と言えるのではないでしょうか。ビジネスリーダーの役割は、掲げた目標を達成するために、チームメンバーを正しい方向へ導くことです。前提としてチームメンバーのモチベーションを高めながら進むべき方向性を示し、向かうべき方向を感知し理解する又メンバーに伝える能力、メンバー巻き込みながら実現まで持っていくという複合的な能力が求められます。社会が先の見えない複雑な世界と変化し価値観や文化の多様化している現代、欧米企業のように優秀なビジネスリーダーの存在が組織の状況を良い方向へ導く事例が多々あります。人が事業へ与える影響はますます大きくなっていきます。



従来のPM理論でのビジネスリーダーの役割として、「目標達成機能」と「集団維持機能」が言われていました。これに加えて現代のビジネスにおいてリーダーに求められる重要な能力のひとつが、イノベーションを促す能力です。様々なデータから積極的に分析を重ねながら、課題と期待を強く打ち出して、新しいビジネスモデルを描く能力が必要になります。社会が多様化しているのと同様に組織内のチームメンバーの専門性や個性も多様化しており、すべての事柄にリーダーが主導的に決定することはほぼ不可能です。そのため優れたコミュニケーション能力や人間関係構築力、そして多様な考え方を受け入れる能力、メンバーの多様な専門性や個性を活用し、状況に応じてリーダーとメンバーの役割を柔軟に変え適応することが重要です


不確実性の増す現代において、企業課題や業務改善などを身近な問題解決にするリーダーシップを発揮するリーダーは必要です。このような課題に対して社内でチーム編成をして、課題解決する機能を持たせることでリーダーの育成を図ることができます。リーダーを育成するためには、ロジカルシンキングや批判的思考力、水平思考などのコミュニケーションスキルを高めるプログラムが必要です。複雑性の増す現代においては、現象化する事柄が幾つかの要因が影響していることが多々あるので「システム思考」で原因を探るのがお勧めです。イノベーションを創出するのには、ヒト中心の発想からアイディアを促す「デザイン思考」がお勧めです。様々なツールを活用して課題解決に向けてミーティングを続けることが、ビジネスリーダー育成の早道です。