組織の未来をつくるコラム

中小企業の約半数がリスキリングの取り組みを・・!

今月7日に発表された民間調査では、中小企業の約半数がリスキリングに興味を持たれ、取り組みの意思表示をされているそうです。大手企業では約8割が取り組み開始の状況を見ると少なく感じるかもしれませんが、今年3月は発表された別の民間調査では、9割以上の中小企業がリスキリングの施策さえできていない状況でした。40歳以下の経営者では特に推進に前向きの結果だったようです。産業構造の変化や人手不足、DX、人的資本経営へのシフトや自立的なキャリア形成など、ビジネス環境が変化したことによりリスキリングの取り組みの重要性がより高まっていることは事実です。とは言っても、闇雲にリスキリングに目的も定めず取り組んでも範囲も広く、意味は見いだせないと思います。アンラーニングと並行して取り組んでこそ効果があると私は思います。


アンラーニングとは、これまでの価値観や知識を見直しながら取捨選択し、その代わりに新しいものを取り込むことを指します。「学びほぐし」「学習棄却」とも言い換えられています。「VUCAの時代」という言葉に代表されるように、社会経済が急激なスピードで変化する今日、いつまでも旧来の価値観や行動パターン、知識に頼っていては、事態の変化に太刀打ちできない世の中になっています。常に危機意識を持って時代の潮流・動向を見据え、必要とされる知見をいち早く習得していくことが重要な時代です。以前にもこのコラムでご紹介した通り、コロナ禍やビジネス環境に変化などをきっかけにして、記事を紹介した7月中旬においても49.8%の就業者がアンラーニングを実施しています。



アンラーニングの内容としては、「仕事の計画」「仕事の手続きや方法」が最も多く、それまでの仕事のやり方を続けても成果や影響力発揮につながらないという自身の限界についての認知(限界認知経験)が、アンラーニングを促進しているようです。このように、従業員の意識改革や成長、業務の効率化、変化に対応できる組織への変革など多くのメリットがあります。気をつけたいのは、長年慣れ親しんだ仕事のやり方や考え方を否定されたような気がして、多かれ少なかれ心理的な抵抗感はあるはずです。アンラーニングの取り組みには、必ずチーム単位、部署単位で行うことを心がけてください。すべてを変えるのではなくチームで優先順位をつけて相互合意のもとに行えば抵抗感も少なくなるはずです。


リスキリングのメニューも多種多様ですが、社内のデジタル化や業務改善を進めるDXが推進されているためにデジタルスキルを選択される方が多いようです。弊事務所では、ビジネスを可視化、課題解決のツールとしてUML(統一モデリング言語)をリスキリングに活用しています。このツールそもそもが、コンピューターのソフト開発のためのモデリングツールですので、プログラミング言語を書きこめばPCソフトとして動きます。ビジネス全体を概念モデルとして理解・表現できれば業務改善やDX、新規事業開発に役立ちます。顧問先数社でこのツールを社内編成のチームとしてプロジェクト展開していますが、皆さん1年以上取り組まれて様々な気づきを得られているようです。リスキリングは、目的を明確にして、目標(KPI)向かって一歩一歩進むことが大事です。


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