管理職の人材マネジメント
リクルートは17日、「企業の人材マネジメントに関する調査2023-管理職・ミドルマネジメント編」を発表しました。管理職について、制度を変える、従来のやり方を見直す必要性を感じている企業は44.3%。その理由として最も割合が高かったものは、「管理職のマネジメントスキルが低下しているため」(56.5%)、次いで「従来のマネジメントスキルややり方では成果が上がらなくなっているため」(46.6%)、「従業員が多様化しているため」(41.0%)と続きました。管理職に関する課題としては、「部下の人材育成」(36.9%)、「部下のモチベーション向上」(35.6%)、「若手社員への指導・育成」(32.5%)などの割合が高かったそうです。求人の増加に伴い、自らのキャリアアップのために管理職での転職も増加傾向にある事実も憂慮すべき課題です。
管理職のマネジメント行動について、重要視しているものと実際の取り組み状況に関する質問では、企業では従業員の強みを本人に伝え、その能力を強化・戦力化することを重要視していますが、実際に行われているマネジメント行動としては進捗の把握、サポートが多いことが分かりました。管理職のマネジメント行動と企業の生産性との関係を「目標設定と業務のデザイン」管理職が従業員の目標を設定、達成に至る成長と学びを促進を促す業務設計カテゴリ、「成長支援とフィードバック」管理職がどのように従業員の専門的スキルアップ、キャリア支援をしているかのカテゴリ、「コミュニケーションとチームの協働」円滑なチーム・コミュニケーションを通した協働促進の3つのカテゴリで調査・分析を行っています。
リクルートでは、各項目を5件法で確認、カテゴリごとに算出した平均値で「取り組んでいない群」「どちらでもない群」「取り組んでいる群」として結果を公開しています。「目標設定と業務デザイン」では、「取り組んでいる群」の生産性が3年前と比べて向上した割合が41.3%と他の群に比べて高い割合でした。管理職が明確な目標を設定し、業務を適切に設計することで、従業員が自身の役割を理解しやすくチャレンジな環境を作り出すことができていると考えられるようです。「成長支援とフィードバック」でも「取り組んでいる群」の3年目との比較で生産性向上の割合が39.9%、他の群と比べて14.3P~20.2Pの差をつけています。「コミュニケーションとチーム協働」においても、同様の結果が得られました。
中小企業では、新入社員への教育は充実していても管理・監督職に対する教育がほとんどないこと訴える管理職の方が多いように思います。監督者に関するマネジメントスキル教育体制を構築することは簡単ではありません。しかし、今回の調査結果からも内部労働市場の改善は、生産性を向上のための非常に重要な要素であることが分かりました。一方で、企業は内部だけではなく外部労働市場へ目を向けなければ、適切な内部労働市場の改善は難しいと論じています。外部労働市場の方が、キャリアアップの条件的に優位であれば人材の流失に繋がりかねません。外部からの人財登用を含め、両労働市場の状況を見極め改革を進めることで調査報告は結んでいます。
リクルートの調査結果は、下記からダウンロードしてご覧になれます。