組織の未来をつくるコラム

新規事業創出のための人財育成システム

事業が永続的に発展していくためには、事業を通じて継続的に利益を生み出す必要があいますが、その事業には一般的に寿命が存在するため、必然的に新規事業を創出していくことが必要不可欠になってきます。しかし、不確実性の時代では、投資可能な資源が限られる中でいかに収益性、成長性が高いと見込まれる事業を選択し、経営資源を集中的に投入するかが経営課題になっています。中小企業では、現場の社員の着想の力・発案の力・実現する力を育てることが、新しい事業転換への大きな力になります。また、新規事業を進めるには、イノベーションの能力を持つ社内で選抜された推進リーダーが必要になります。


イノベーション人財は募集するか社内で育てるかですが、その能力を育成・向上させ発揮できる人事システムがなければ、新規事業創出の道は遠くなります。イノベーション人財に求められる能力として、新しい試みに対する意欲や分析思考能力、コミュニケーション能力などが挙げられます。それらの能力を開発するためには、自己の目標に対して個々人の能力に応じた論理的思考力を培う、目標管理制度(人事考課)が適切です。イノベーション人財を、人事システムの目標管理制度で育成しながらも、テーマの発案・推進、手段の選択などを進める社内システムの整備が必要になります。社内選抜された社員のプロジェクトチームがその役割を担うのが理想的です。



プロジェクトチームには、新規事業として大きな成果を最初から求めるのではなく、失敗してもいいから、小さな規模から始め、より大きな規模のテーマへと進み大きな成果に成長させていくことが大事です。テーマを探し、チームのコミュニケーションを図りながら主体的に推進し、成果物を完成させる一連のプロセスを経験することが大切です。メンバー個々人の強みを理解し、それぞれが自分の強みでの協力体制を構築して全体をマネジメントし、その能力を高めていくことが大事です。

新規事業の創出には、経済的実現性、技術的実現性、有用性のバランスが必要です。何が求められ、投資可能な資源のなかで重要な制約を見極め、最終成果物を考えていく作業が必要になります。それ以上に、「アイディアを出す」「コンセンサスを築き上げる」がチームとしては大事、企業が人財育成のシステム、環境を整備すればプロジェクトマネジメント力も高まるはずです。人が育つのは傍で見てうれしいものです。