組織の未来をつくるコラム

「新しい時代の働き方に関する研究会」が示した労働基準法制の方向性

厚生労働省の「新しい時代の働き方に関する研究会」が開催され、その中間整理の資料が公表されました。それによりますと、企業を取り巻く環境や働く人の意識、更には個人の企業の関係までもが変化する中で、我が国の企業が活力を維持・向上させていくために「働き方を柔軟に選択し、能力を高め発揮できる環境を整備すること」が求められています。これらを支える仕組みとして「働く人の多様なニーズをくみ取り、それを労働条件や職場環境に反映するための仕組み」が必要との認識に基づき、議論が行われています。企業のとっても今後の組織体制を考える上で考慮すべき事項です。


具体的には個人と企業の関係性は、従来の企業が個人を士気命令下の置き、内容する関係から対等な関係を築くようになってきます。AIやビッグデータなどデジタル技術の発展の中で個人が求められる能力が変わっていくことで、多様で主体的なキャリア形成を望むようになります。自ら考え、行動し、企業の依存しすぎない働き方として好きな場所で働き、成果主義の応じられるような組織体制への変化が企業の求められるのかもしれません。柔軟な働き方が選択でき、自己の能力を高めること、発揮できる職場環境を整備することが求められます。



働く価値観、ライフスタイル、働く上での制約が個別・多様化しているからこそ、全ての働く人が心身の健康を維持しながら幸せに働き続けることのできる社会を目指すといことがもう一つのポイントです。心身の健康の重要性は全ての労働者に共通することであり、労働条件にあった基準が時代にあったものになっているかを見直すことが重要です。その上で、自ら望むワークライフスタイルや自発的な能力開発と成長を支える制度の在り方を見直すことが必要です。


働く人の選択と希望を反映させる「働く人の求める多様性尊重の視点」に立った仕組みを整備することが、企業のパーパス経営や従業員のエンゲージメント力の向上を機能させる結果となると報告書に書かれています。企業の取り巻く環境が不確実性を伴いながら変化する中で、新しい時代に即した労働基準法制の方向性に変わろうとしています。企業が従来以上に事業転換・組織改革を迫られている状況で、深刻な人手不足に直面する事が増えるのは確実です。時代に呼応した人事システムの構築は喫緊の課題と日々感じています。