組織の未来をつくるコラム

働く人の強みを活かした経営

日本型の雇用環境では、業務過程が共同作業になる傾向にあります。高度成長期にはその仕事の進め方がプラスになりましたが、今では労働生産性の低さの原因になっています。欧米の仕事の進め方は、業務課程の各ポジションにその仕事の専門家が配置され、上司は担当者に役割や目標を明確に伝え、あとは担当者に仕事を任せます。政府の専門部会では、今年から最低賃金を年5~6%程度引き上げながら欧米の賃金と遜色ない額まで、段階的に引き上げることを考えているようです。しかし、今までの仕事の進め方で企業収益を向上させることは難しいのではないでしょうか。


生産的な仕事と成果を生み出すためには、働く人ひとり一人が他の人が持っていない深い知識や技術を持つことが重要です。自分の得意分野を見つけること、その分野での知識や技術を深めることが、良く言われるジョブ型雇用への道です。しかし、このことは単独では成果につなげにくいものになってしまうという側面も持っています。そこで必要になるのが、人が持っている知識・技術を組み合わせて、組織の生産性を上げていくことです。働く人ひとり一人が、自分の得意分野で組織に貢献し生産的な仕事を行うことで、成果を生み出す職場環境を醸成します。



成果を上げるには、自分の強みや相手の強みを見つけて、それを活かすことが大切です。それぞれに強みを持った人が集まり力を合わせることで、より多くの成果を生み出すことができます。強みとは「これなら誰よりも得意」「他に人より簡単にできる」と言えるものです。強みからしか大きな成果は生み出せません。日本では、強みを活かすことより弱みを克服することに力点が置かれていました。弱みはその人の苦手分野であることが多く、克服してもせいぜい人並程度です。標準的になるより強みを見つけることが大事です。


自分の強みは分かっているという人がいますが、自分で思い込んでいる強みは好きなことと勘違いすることが多いです。自分の強みは、いつもさりげなく行っていること、本人は誰でもできることと勘違いしていることが多いものです。人から指摘されたり褒められたりしなければ気づかないことです。PDCAのフィードバック分析でしか分からないこと。そのため弊事務所では、目標管理制度を人事システムに組み入れています。人事考課の要素もありますが、より強い組織にするための仕組みです。生産的な仕事とすることで企業収益をあげ、政策的賃金向上に耐えるうる企業とすることが喫緊の課題だと弊事務所は考えています。