組織の未来をつくるコラム

業務改善とシステム思考

企業にとって業務上のムダを省くことはコストを削減させるだけでなく、生産性も上げるメリットがあります。業務改善とは、日常業務のフローや業務目的などを見直し、改善していくことです。ビジネスに関わる仕事のモノ・ヒト・カネ・情報などを駆使して、顧客や世間の望む商品・サービスを創造して提供するシステムの全てを対象とします。業務改善には、3S、GCDやECRS、ロジックツリーなどの様々なフレームワークを使い分析し、「業務の見える化」を行います。弊事務所では「統一モデリング言語(UML)」を活用しています。気をつけなければいけないのは、例えば経費削減とは経費のみを対象としているのに対して、業務改善は経費も含めて会社に関わる全ての事柄を対象にして問題解決していくことで会社全体の生産性を上げていくことです。


業務改善は会社のためにも社員一人ひとりのためにもなることなのに、失敗に終わってしまうケースが少なくありません。また、問題をきちんと見ていないと業務改善ではなく「業務改悪」になってしまうケースもあります。業務改善のための現状把握から分析、問題発見から実際の実行までを現場主体で行うことによって「最後までやり遂げよう」という想いから遂行されることが多いので、経営側である経営者・管理者と現場との目標の共有が大事になります。また、業務全体を対象として考えていきますので、全体を俯瞰できるフレームと考え方が必要になります。そこでお勧めしたいのが「システム思考」という方法です。あらゆる現象を1つのシステムとして捉え、全体の構造を把握し、問題解決に導くとされている思考方法です。要素の因果関係を「つながり」として捉え、全体の構造を「つながりの連鎖」として表現します。



システム思考は、課題の解決や施策の検討に用いられる手法の一種です。特にビジネスシーンにおいては、事業を進めるうえでさまざまな出来事が発生していますが、それは氷山の一部を見ることでその本体の大部分は海の中にあります。これが「氷山モデル」に代表されるシステム思考です。システムは、「出来事」、「パターン」、「構造」、「メンタルモデル」という4層に別れていると言われています。その時々に出来事、パターン、構造、メンタルモデルのどの段階で問題に取り組むべきかを理解する事が重要になってきます。システム思考で使用するツールとしては、ループ図(因果ループ図)があります。「今までのパターン」「このままのパターン」がなぜ起こるかについて、システムの主要な要素及びそれらに影響を与える要素、影響を受ける要素を列挙し、要素間の因果関係を矢印で結びながら、要素間の相互作用を見出すためのツールです。


その他、システムの主要な要素(目標とするアウトプット、インプット、活動量、資本・資源、影響など)の過去から現在、未来までのパターンを折れ線グラフで描く時系列変化パターングラフ。時系列変化パターングラフや因果ループ図、実際の現場の状況を理解しながら、どこの要素に働きかけると全体への影響が最も大きいかを判断するレバレッジポイント。目の前で起こっている事象をより深く知り、図式化していくことで、仕組みや根本的な解決策が得られると思います。弊事務所では、UMLで事業の全体の設計図を書き出し、システム思考によって物事のつながりや全体像を俯瞰し、複雑化するビジネス環境での業務改善を行っています。