組織の未来をつくるコラム

ドラッカーの組織マネジメント論

「マネジメント」を語るうえで必ず話題に挙がる人物が、ピーター・ファーディナンド・ドラッカー(以下、ドラッカー)です。ドラッカーは「マネジメントの父」と呼ばれ、生前に執筆したマネジメントなどに関する著書は、今もなお多くの会社の経営に影響を与えています。ドラッカーの考え方は常に理路整然としています。ドラッカー経営学の基本思想をキーワードで表せば、「人間の幸せ」と「貢献」という2つの言葉に集約されると思います。また、ドラッカーは社会全体を生命体として見ていました。社会を構成する組織や個人が社会に貢献しているからこの社会は成り立っていると考えます。組織の外に対する「貢献」と「成果」はドラッカー経営学の重要なキーワードです。 また、組織の重要な目的がそこで働く人を、仕事を通して幸せにすることだとドラッカーは言います。それは報酬とかによるものではなく、仕事自体にやりがいを感じさせるような状態を作ることです。 



ドラッカーは自身の著書の中で、組織におけるマネジメントについて以下のように定義しています。

「組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関」組織が目標を達成するために必要な、さまざまな要素の総称がマネジメントであり、組織をスムーズに経営するうえで欠かすことのできないものと言えます。組織を運営するマネジメント層が組織を機能させ、貢献へと導くには次の3つの役割を果たさなくてはならないと言います。

1.自らの組織に特有の目的と使命を果たす。
2.仕事を生産的なものにし、働く人たちに成果をあげさせる。
3.自らが社会に与えるインパクトを処理するとともに、社会的な貢献を行う。

現代は、新型コロナウイルス(COVID-19)といった感染症などの疾病や台風、地震などの災害、AI技術の急激な進化により世の中の変化を予測しにくくなっています。このように今後の予想がしにくい状況をVUCA(ブーカ)という言葉で表すことがあります。ドラッカーの組織マネジメント論は、このような時代だからこそ、組織の原点を見直す機会だと考えます。