組織の未来をつくるコラム

最低賃金1,000円へ!その先の引き上げの動きが加速

3月15日、首相官邸で政府と経済界、労働団体の代表者による「政労使」の会議が行われ、岸田首相は最低賃金の全国加重平均を2022年の961円から23年に1000円へ上げる目標を示しました。官邸で政労使が協議する場を設けたのは8年ぶりで、関係閣僚のほか経団連の十倉雅和会長や日本商工会議所の小林健会頭、連合の芳野友子会長らが参加しました。首相はこの席で「この夏以降は1000円達成後の最低賃金引き上げの方針についても議論をしていきたい」とも言及し、継続的な引き上げの必要性を訴えています。また、リスキリング(学び直し)や円滑な労働移動といった労働市場改革で「構造的な賃金引き上げ」をめざすと言明しました。



今月12日に公表された内閣官房「三位一体労働市場改革の論点案」においても、多様性の尊重と格差の是正のためにも最低賃金の引き上げは必要と考えているようです。今夏以降は、1,000円達成後の最低賃金引上げの方針についても(新しい資本主義実現会議で)議論を行うこととしています。その際、中小企業への労務費の適切な転嫁を通じた取引適正化が不可欠としています。公正取引委員会の協力の下、労務費の転嫁状況について業界ごとに実態調査を行った上で、これを踏まえて、労務費の転嫁の在り方について指針をまとめるようです。隣国韓国の最低賃金の段階的引き上げの成功例に鑑み、不可逆的かつ中小企業にとっては死活問題となる議論が始まります。企業の防衛策としては業務改善と並行して生産的な仕事への転換を図ることが大事かと考えます。