三位一体労働市場改革の論点案
労働時間の上限規制や同一労働同一賃金などを推進した働き方改革は「新しい資本主義」に移行し、今回は我が国の労働の在り方を大きく変化させようとしています。内閣官房新しい資本主義実現本部事務局は「三位一体労働市場改革の論点案」を公表しました。この論点案の前文では以下のような内容が述べられており、労働移動を促進することによる日本経済の成長を図っていくことが目的であることが分かります。
「働き方は大きく変化している。『キャリアは会社から与えられるもの』から『一人一人が自らのキャリアを選択する』時代となってきた。職務ごとに要求されるスキルを明らかにすることで、労働者が自分の意思でリ・スキリングを行い、職務を選択できる制度に移行していくことが重要である。そうすることにより、社外からの経験者採用にも門戸を開き、内部労働市場と外部労働市場をシームレスにつなげ、労働者が自らの選択によって労働移動できるようにしていくことが、日本企業と日本経済の更なる成長のためにも急務である。」
この論点案は以下のような項目から構成されています。
1,リ・スキリングによる能力向上支援
2,個々の企業の実態に応じた職務給の導入
3,成長分野への労働移動の円滑化
4,多様性の尊重と格差の是正
職務給(ジョブ型雇用)への制度導入に向け、個々の企業が推進を加速できるようなモデルを提示し、同時に現在各企業で行われている学び直し支援策を個人経由とする案が有力になっています。能力に応じた給与の在り方と能力開発の取り組み如何によって労働者に選ばれる企業とそうではない企業が生まれます。また、現在全国加入平均961円の最低賃金も今夏以降の議論とされていますが、全国平均1,000円も議論される可能性がありますので、昨年の上げ幅以上の影響も懸念されます。
人事制度、配置・育成、休暇などの諸制度と企業収益の確保に向けた対策が必要です。中小企業の生き残りをかけた時代への入口かもしれません。